2010年04月20日

舌のみかた(2)

 舌のみかた(1)では、舌と身体の区分についてお話をしました。

 今回は、舌と内臓の関係についてお話をします。

 まず、私達鍼灸師が[肝がこうです。或いは、腎がこうです。」と説明すると必ず患者さんから『肝臓が悪いのですか?』とか『腎臓が悪いのですか?』と聞かれます。

 たいていは、西洋医学で言う肝臓や腎臓のことを話をしていると勘違いされることが多いのが実情です。

 所謂五臓の心臓・肺臓・肝臓・脾臓・腎臓、六腑の胃・小腸・大腸・胆は、元々は漢方用語であり、江戸後期に西洋医学の伝来とともに、外来語の内臓と作用を見比べて、それに近い臓器の名前をつけたのではないかという説があります。

 いずれにしても、心臓・肝臓などは、元々漢方用語だったことを理解していただきたいと思います。

 さて、舌も内臓の反応が出る場所として、東洋医学では診断に使用しています。

 舌診にみかた(1)同様、舌先から舌の奥まで3等分します。

舌のみかた(2)

 まず、舌先から1/3の上焦(じょうしょう)にあたる部分は、心・肺の反応が出ます。

 上焦(じょうしょう)というのは、身体の区分では横隔膜より上を示しますので、心・肺が解剖学的にもそこの位置にあることで納得されると思います。

 次に、舌中央1/3の中焦(ちゅうしょう)にあたる部分では、胃と脾の反応が出ます。

 中焦(ちゅうしょう)というのは、下腹部から横隔膜の間(特にその間のお腹)を示しますので、胃・脾が解剖学的にもそこの位置にあるので、納得されると思います。

 一つ注意してほしいのは、東洋医学の脾臓は、皆さんの知っている西洋医学での脾臓の役割が違うことです。

 西洋医学では、脾臓はリンパ系に関係する臓器ですが、東洋医学では胃を助ける消火器系に関係してきます。

 ですから、一般的にお腹とされる中焦(ちゅうしょう)は、消火器系の胃と脾があることを舌診でも示しています。

 そして、舌奥1/3の下焦(げしょう)にあたる部分では、腎の反応が出ます。

 下焦(げしょう)というのは、下腹部から下を示しますので、、腎が解剖学的ににそこの位置にあることを納得されると思います。

 一番理解しにくい両サイドの肝と胆ですが、位置的にはお腹にあたる中焦(ちゅうしょう)に当たります。

 では、なぜ両サイドにあるのかと考えてみると、胆の反応が出る経絡(ケイラク・・ツボの流れ)が足から頭まで流れているのですが、そのほとんどが身体の横に流れていること。

 つまり、足の小指から始まり、大腿部の外側、側腹部、脇の下、顔・頭の横を流れているので、舌でも両サイドに反応が出ると考えたと思うのです。

 そして、胆と関係が深い肝もこの位置に反応が出ると考えたと思ったのでしょう。

 いずれにしても、これらのことは、昔の人の経験から導かれたものです。

 科学的に調べた物は確実で信用性があります。でも、経験を持って知ったことも確実なものです。

 ですから、東洋医学における舌診は、身体の状態を知る重要な診断になります。



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Posted by 久保田さん  at 14:30 │Comments(0)診察について

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