2018年09月13日
認知症について考えてみよう ~脳血管性認知症~
今回は、脳血管性認知症について、お話をしたいと思います。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など脳血管障害によって発症する認知症です。
この認知症は、生活習慣病を持つ男性に多いのが特徴です。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳卒中になった日をきっかけに3ヶ月以内に発症し、状態のダウンがはっきりとわかる階段状に進行するのが特徴です。
一般的に、脳卒中等の発作が再発する度に悪化していきます。
しかし、小血管性認知症では、ゆるやかに経過をたどることがあり、注意が必要です。
脳血管性認知症の症状は、脳内のどの部分にダメージを受けたかによって個々の症状が変わります。
ここでは、代表的な症状を紹介します。
1.まだら認知症・・まだら認知症ちは、症状がまだらに出る現象です。正常な細胞と脳血管障害で壊れた細胞があるため、障害の受け止め方に差があるこが原因です。以下に例をあげます。
◎記憶障害は、軽度にとどまることが多いが、実行機能障害(作業を順序立てて効率よく行うことができない。)注意障害(前頭葉機能低下により、集中力が保てず疲れやすかったり、逆に集中はできても他の対象に適せるに注意を向けられない)などが目立つ
◎午前はハキハキと話せたのに、午後はボーっとして言葉がでない。
◎朝できた着替えが夜にできない。
2.運動機能障害・・初段階から運動機能に障害がでることが多いのも脳血管性認知症の特徴です。運動機能といっても歩行障害や言語障害、嚥下障害(食べ物を飲み込むことが上手にできない。)など範囲が広く、以下の症状がみられます。
◎うまく物を飲み込めない嚥下障害
◎手足のしびれや片麻痺(左右どちらかの半身不随)
◎パーキンソン症状(すくみ足、小刻み歩行、無動、筋固縮)
◎ろれつが回らない。
◎尿失禁
3.よくうつ状態・・気分の落ち込みが激しいよくうつ状態が見られます。特に初期は「できないこと」や「わからない」ことの自覚がはっきりとしている傾向があります。その為自身の状態にショックを受け、無気力・悲観的、うつ状態になることも多くあります。
4.情動調節障害(感情失禁)・・喜びや怒り、悲しみといった感情のコントロールが効かなくなる情動調節障害(感情失禁)は、脳血管性認知症の最も大きな特徴です。これは、感情機能をつかさどる前頭葉の血流が阻害されることが原因で起こります。その症状を以下に示します。
◎挨拶をしただけでなく等、その場にそぐわない感情が出る。
◎些細なことで怒りの歯止めが効かなくなる。
◎喜怒哀楽の変化が激しい
◎喜怒哀楽の間に表情がなくなることがある。
脳血管性認知症の症状について解説をしましたが、治療は脳の血管が破裂して出血したり、脳の血管が詰まってその周辺の脳細胞が壊れて、発症している認知症なので、脳梗塞や脳卒中の治療に準ずる形となります。
予防は、生活習慣病の人が発症しやすいのですから、食事、飲酒、喫煙、運動の見直し等、生活習慣の改善が主となります。
以上、脳血管性認知症について解説しましたが、脳梗塞や脳卒中の後遺症は麻痺だけでなく、認知症も発症する可能性があることも
頭に入れていただければ、幸いに思います。
