2018年09月11日
認知症について考えてみよう ~徘徊や暴言・暴力行為を考える~
2007年 愛知県の大府市で、認知症の男性(当時93歳)が徘徊中に列車にはねられ死亡しました。
当時のJR東海は、男性の遺族に振り替え輸送代など約720万円の損害賠償を起こしました。
死亡した男性は、妻(当時91歳)の二人暮らしで、身内は、遠くに長男(当時63歳)がいました。
地裁では、妻と長男に賠償(約300万程)支払いを命ずる判決がだされましたが、最高裁では、家族に監督の義務はないと判断し、JR東海の敗訴が決定され、賠償金を払わずに済むことになりました。
高齢者の夫婦の世帯は、今後増えていき、このような事件が起こる可能性が十分あります。
ですから、今後は一人でも多くの方が、認知症に理解を理解することが大切であると考えます。
死亡した男性は、徘徊でしたが、徘徊、抑うつ、もの取られ妄想(財布が盗まれた)、弄便(ろうべん・・便いじり)、幻覚、暴力・暴言、介護拒否、睡眠障害(昼夜逆転)、異食(食べられない物を食べる。例:消しゴムを口に入れる)等の症状を行動障害(BPSD)と言います。
これは、アルツハイマー型認知症の周辺症状と呼ばれております。
昔は、介護従事者の間では、行動障害のことを問題行動と言ってしまいました。
確かに、徘徊や暴言・暴力、異食などは、健康の人からは考えられない問題行為ですね。
ただ、これは周囲にいる人の考えで、認知症本人の視点からみた考えではないですねー。
現在では、行動障害を起こす人には、“その人なりの考えがあって行為を行っている”と考えられるようになって、名称も問題行動から行動障害に変更されました。
その行動障害の要因になっていると思うのが、アルツハイマー型認知症 中核症状(認知症の方だと誰でも現れる症状)だと思います。
中核症状には、以下があります。
1.記憶力の低下・・・新しく経験したことを記憶することができない。
2.見当識障害・・・・見当識とは、自分が今どの様な状況に身をおいているのか分からなく状態を言います。年月日や時間、季節、人物など分からなくなります。また周囲の人との関係も分からなくなります。
3.理解・判断力の障害・・物事の理解に時間がかかり、一度に複数の事を言われる、行動しようとすると理解が難しくなる症状です。また、いつもと違う出来事に対して混乱する場合があります。
4.実行機能障害・・物事を論理的に考えて、計画を立てて実行することです。例えば、夕飯のメニューを考えて、家にある食代と買いに行く食材を選択し、買い物に行くと一連の行動のこと。
5.失語・・・言葉を主る脳の部分が機能しなくなり、言葉がうまく使えなくなる状態です。
6.失認・・身体に問題がなくとも「五感(視覚・聴覚・触覚・臭覚・味覚)」に認知能力を正常に働かせ、状況が正しく把握することが難しい態を言います。自分の身体が感覚と感じていても、その意味が分からない状態です。
7.失行・・体を動かす機能の障害はみられず、行動しようと意思があるものの、今までの生活で身につけた動作が行い状態です。
例 ズボンの履き方を忘れ、頭からかぶってしまう。指示され行動を実行に移せない。
以上、簡単にいうと認知症の方は、誰と自分がどこにいて、何をしているのか、わかない混乱の状態にあるのです。
そこにトリガー(引き金)になるのが、周辺にいる人の言動です。
ちぐはぐでおかしいことをしていることを強く指摘されると、認知症の方は、“自分を理解れていない”や“自分の心の落ち着く居場所がない”と思います。
この思いをもって、攻撃的な人だと暴言・暴力行為をするだろし、“ここに居場所がないので、いても仕方ない”と思った人は、徘徊をする可能性があります。
ここでお分かりのとうりに、認知症の方をケアするには、相手の気持ちに寄り添うことが大切です。
そうはいっても、理解不能な行動している人に、気持ちに寄り添うのは、難しいのでは思う方もいると思います。
その話は、また後日するとして、今回は認知症の徘徊や暴言・暴力についてお話をしました。
