2012年05月12日

抑肝散のネーミングについての考察

 2回から抑肝散のネーミングについて、少しひっぱりすぎた感じがありますが、ブログの記事のボリュームから区切らせていただいてますので、その点はご容赦をお願いします。

 さて、抑肝散(よくかんさん)は、そのままのとうりに肝(かん)を押さえる薬であると言うことです。

 散は、前回もお話しましたけれども、散剤(顆粒のお薬)であることを示しています。

 つまり、肝を抑制すれば、イライラやイライラする、眠れない、まぶたが痙攣する、手足が震えるなどの症状や小児の夜鳴き、落ち着きない、ひきつけなどの症状を改善することになります。

 肝とは、なにか肝臓のことをしめすのか・・・

 一般的に、肝臓というと西洋医学のことを思い浮かべますが、内臓という言葉は元々漢方用語であります。

 ですから、ここでは間違えないように肝(かん)の臓とさせていただきます。

 東洋医学では、五臓と呼ばれる心・肺・肝・脾(ひ)・腎には、それぞれに色んな作用をしていることを教えています。

 肝とう字の成り立ちは、肉好き+干であります。

 この干は、幹である。

 ですから、肝は体における幹と考えられております。

 まさに、肝腎要といわいる言葉とうりに大切な臓器であります。

 さて、肝の病態生理ですが、代用的なものに“肝は疏泄(そせつ)をつかさどる”という作用があります。

 この疏泄(そせつ)作用というのは、他の内臓や経絡(経絡)の気血のバランスをコントロールをして、健やか日常生活が過せるように番人みたいな役割をしております。

 西洋医学で言えば、自立神経に似たような作用をしております。

 この肝が影響が受けやすいのや七情の乱れ、現代でいうとストレスです。

 このストレスにより、肝のバランスが崩れてくるのです。

 肝のバランスが崩れると気血のバランスが崩れ、さまざまな不定愁訴を示します。

 また、肝の作用として“肝は怒りをつかさどる”や“肝は筋をつかさどる”というものがあります。

 つまり、ストレスにより肝のバランスが崩れる感情のコントロールができなくなって、怒りぽっくなり、筋肉も痙攣しやすくなるのです。 

 この場合、くずれた肝のバランスを抑えれば、イライラや筋肉に痙攣が納まることになります。

 ですから、イライラやイライラする、眠れない、まぶたが痙攣する、手足が震えるなどの症状や小児の夜鳴き、落ち着きない、ひきつけなどの症状を改善する薬が抑肝散(よくかんさん)というネーミングでよいことになります。

 ストレスが多い現代社会では、様々な不定愁訴を起こしやすい環境にあります。

 西洋医学では、自立神経失調症と言っていますが、東洋医学の肝臓の病態生理から説明すると分かりやすくなります。

 次回は、自立神経失調とほぼ同じ症状で春の季節病『五月病』について解説をしていきたいと思います。face17  


Posted by 久保田さん  at 19:44Comments(0)鍼灸コラム