2010年06月09日

自然と人間は、気で動かされている。

 前回『空気の語源』では、『気』は、“自然界に出る蒸気や人間のはく息に関係している”と説明しました。

 昔の人は、大地から上がる水蒸気と人間のはく白い息が同じと感じたんだと思います。

 だとすれば、自然を生かしている物体も人間が生かされている物体も時折見える白い物体に関係していると考えたと思うのです。

 中国では、『気』の漢字を主は『气』を使うと説明しました。

 この文字は、大地から上がる水蒸気の姿や人間のはく息を表す漢字です。

 だとしたら、人間も自然もこの『气』という物体に動かされていると考えたんだと思います。

 なぜなら、人間を含めて動物は、死ねば動きませんし、呼吸もしません。

 だから、自然に生きている物も人間も『气』=『気』で生かされている。

 人間は、空気がなければ生きていかれないので、あながち間違っていません。

 でもこれが全てではないと感じると思います。

 なぜなら、食事をしてエネルギーを摂っているからです。
 
 しかし、食材となる動植物も呼吸をしなければ、育ちません。

 そのすうると、これも『気』の力が必要となりますね。

 だから、この世にある万物は、『気』によって生かされ、動かされていると考えたと思うのです。

 『気』によって全ての万物が生かされ動くことを『気一元論(きいちげんろん)』と言います。

 そして、自然界をマクロコスモス(大宇宙)と言い、人間をミクロコスモス(小宇宙)と表現します。

 つまり、『気』を通じて自然の縮図が人間に表れるのです。

 その代表例が、病気です。特に冬に引きやすい風邪は、人間の身体が外部から冷えによって、発症したと考えました。

 これは、自然が人間に影響している典型的な例です。

 ですから、昔の人は、自然の動きを知る必要があったですね。

 そして、この『気一元論(きいちげんろん)』の発想を元に天気を予想する天文学や先の事を予想する占いが発展してきます。

 この使い手が、みなさんご存知の『陰陽師(おんみょうじ)』につながっていくわけですね。
  


Posted by 久保田さん  at 14:29Comments(0)鍼灸コラム